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教科書労働者総決起集会・決議文

日程的に前後しますが、10月26日に東京での決起集会が行われました。その際確認された二つの決議文を掲載します。また大阪でも11月2日に決起集会が行われ、同様の趣旨で決議があげられています。

決 議 文
 私たちは、経営に対し一人ひとりで主張してもかなわない労働条件の維持・向上のため、また、互いの生活を守りあうために労働組合に結集しています。一方、私たちが従事している教科書という仕事は、国会で制定される法律や予算、政府の施策に、大きな影響を受けています。当然、私たちの生活にも影響します。そのため、政治や社会の動きにも無関心ではいられません。
 この一年、とりわけ安倍前内閣では、戦後築かれてきた平和と民主主義の理念に基づく法律や諸制度の改悪が矢継ぎ早に行われました。教育をめぐっては、「改正」教育基本法の具体化の第一歩として、「学校教育法」「教員免許法」「地方教育行政法」の「改正」が強行されました。また、政府・財務省は、教科書予算の引き下げを継続する考えを明示しています。
 経済では「景気回復」が喧伝されていますが、その実感はまったくありません。安倍内閣から変わった福田内閣では、さっそく消費税引き上げがさも当然であるかのように議論されています。また、統計上は失業者が減っていますが、その要因は非正規雇用労働者の増大にほかなりません。
 このような状況の中で教科書各社は、総じて人件費の抑制によって「乗り切り」をはかろうとしています。しかし、私たちは、業務運営でもそれ以外でも、あらゆる意味で厳しい生活を強いられています。私たちは自らの生活を守るため、厳しい状況に立ち向かい、各経営には、経営の責任として私たちの生活を保障するように迫り、要求を実現しましょう。さらには教科書労働者の労働条件を横断的に整備することをめざし、定年延長・継続雇用制度をはじめとする諸制度の確立・前進をはかりましょう。
 私たちにとっては年末一時金の獲得と諸要求の前進・査定撤廃が、加えて光村図書出版労組においては賃上げが、それぞれ今秋年闘の重点要求であることは言うまでもありません。同時に、格差拡大に反対して均等待遇をかちとることも同様に重要な課題です。非正規雇用労働者の待遇・労働条件を低いまま放置することはできません。社員同様に働いていた加藤園子さんを一方的に雇い止めした一橋=マイスタッフ争議では、最高裁での不当な判決をはね返し、ともに教科書で働く者として、さらに運動を広げ、加藤さんの職場復帰を実現させましょう。
 新学習指導要領の告示が先送りされ、小・中学校同時検定・採択の可能性が強く危惧されています。私たちの生活に直結する教科書価格の適正化、「改正」教育基本法の具体化を許さないとりくみなど、教科書統一要求を通して、教科書問題の改善に努めていくことも大切です。政治圧力による「沖縄戦『集団自決』に関する検定意見」問題にもとりくむ必要があります。一一万人を超える人々が集まった沖縄県民大集会をはじめとする行動と人々の想いを、教科書に働く者として受けとめ、積極的にとりくんでいきましょう。
 年末一時金の要求をはじめ、均等待遇、教科書要求など、要求実現のたたかいは決して容易ではありませんが、教育・教科書にかかわる労働者として、将来を担う児童・生徒のよりよい教育のために、私たち、東京書籍出版労組、光村図書出版労組、教科書共闘は、すべての組合員の団結と連帯をもとに、今秋季年末闘争を最後まで力強くたたかいぬくことを誓い、本日ここに決議します。

2007年 10月 26日
全印総連東京地連   東京書籍出版労働組合
出版労連       光村図書出版労働組合
                   教科書労働組合共闘会議
沖縄戦検定意見撤回、07秋季・年末闘争勝利
10・26 教科書労働者総決起集会 in 東京
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沖縄戦「集団自決」に関する検定意見の撤回を求める決議文
 9月29日に開かれた、沖縄戦「集団自決」検定意見の撤回を求める沖縄県民大会には、11万人を超える県民が参加しました。これは沖縄県民の怒りの大きさを物語っているものです。その後、政府・文部科学省は、教科書会社から訂正申請があれば対応するという趣旨の発言をしています。しかし、多くの沖縄県民の願いである「検定意見撤回」については、かたくなに拒否しつづけています。
 そもそもこの問題は、昨年行われた高校日本史の2008年度用教科書検定で、5社の申請図書に対して、沖縄戦の強制集団死、いわゆる「集団自決」に関し、日本軍の命令・強制・誘導などの表現を、国が削除・修正させたことにあります。これまで意見のつくことがなかったにもかかわらず、なぜ昨年の検定で「削除・修正」の検定意見がつけられたのでしょうか。
 安倍前首相は、「私の内閣において憲法『改正』を発議する」と言い、愛国心を押しつけようとする教育基本法「改正」、改憲手続き法である「国民投票法」を成立させました。そのような状況の中で行われた検定は、日本が行った過去の侵略戦争を正当化し、日本軍の行為を美化する動きと一体のものと言えるのではないでしょうか。
 現在行われている臨時国会での質疑では、文部科学省の教科書調査官が、検定意見を決定する検定調査審議会に対し、まともな論拠がないにも関わらず日本軍の直接の関与を教科書から削除させることをはかり、審議会は事実上審議をせずに決めてしまった、という経緯が明らかになっています。このような経緯からは、恣意的な教科書検定が行われたのではないか、それは、政府・文部科学省が行ってはならないと主張している「教科書への政治介入」とどう違うのか、と疑問に思わざるを得ません。
 今回の検定意見は、沖縄戦の事実を歪曲した間違った検定意見であり、検定意見の原案を教科書調査官がつくり、検定審議会がなんの審議もせずにそのまま通してしまったという、手続き上からも問題があります。そして、内容面でも手続き面でも誤った検定意見は、誤りの責任を明らかにし、明確に撤回しなければ、ふたたび同じ過ちをおかすことになるのではないでしょうか。また、不透明な政府・文部科学省の対応では、「訂正申請」でどこまで記述の回復が図れるのか、という疑問は払拭できません。したがって「検定意見の撤回」を求めることが、記述の回復につながるものであると私たちは考えます。
 教科書会社の労働組合で構成する教科書共闘会議は、1969年の発足時より、「教科書の国家統制反対」、「教科書に真実と自由を」を掲げ、家永教科書裁判や高嶋教科書訴訟の支援など、教科書問題を軸にした統一闘争を進めてきました。そして、東書出版労組、光村図書労組とともに、教科書協会への30単組要求や、文部科学省への要請行動も継続してきました。さらに、「大江・岩波沖縄戦訴訟」裁判傍聴や「大江・岩波裁判を支援し沖縄戦の真実を広める首都圏の会」への入会呼びかけにもとりくんでいます。今回の問題についても、私たち教科書に働く労働者こそが率先してとりくむべき問題ではないでしょうか。「教科書に真実と自由を」という理念からも、歴史的事実を教科書から削除しようとする国の姿勢を認めるわけにはいきません。また、憲法で保障されている言論・出版・表現の自由を守るという観点からも、政治的・恣意的な検定制度には反対せざるを得ません。
 今こそ、教科書に働くすべての労働者が、本日の「教科書労働者総決起集会」を契機として、「誤った検定意見は撤回させること」、「そのことが真実を子どもたちに伝えていくこと」、「誤った検定意見がつけられるような検定制度には問題が多いこと」をあらためて確認しましょう。そして「大江・岩波沖縄戦裁判」を勝利させるとともに、今回の教科書検定意見を撤回させるため、あらゆるとりくみをすすめていきましょう。
右、決議します。

2007年10月26日
全印総連東京地連     東京書籍出版労働組合 
出版労連         光村図書出版労働組合 
                     教科書労働組合共闘会議
沖縄戦検定意見撤回、07秋季・年末闘争勝利
 10・26 教科書労働者総決起集会 in 東京教科書労働者総決起集会・決議文_a0012228_1695399.jpg
by kyokashokyoto | 2007-11-13 16:11
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